テレビ東京深掘り特集報道|Inceptio Technologyの自動運転商用化への取り組みに注目

2026-09-11

2026年9月8日、テレビ東京の朝の経済情報番組「NEWS MORNING SATELLITE」の「中国テクノロジー」コーナーにおいて、Inceptio Technologyのトラック自動運転に関する特集が放送された。


10分を超える特集では、中国の幹線物流におけるInceptio Technologyの自動運転技術の商用化に向けた取り組みや、L4レベルの技術開発ロードマップ、さらに同社の自動運転による累計商用運行距離が10億kmを突破したことなど、同社の重要な進展が詳しく紹介された。


完全版の報道映像は、東京テレビの公式サイトよりご覧いただけます。https://txbiz.tv-tokyo.co.jp/nms/special/post_348282 



中国の幹線物流が抱える課題と自動運転によるブレークスルー


報道では、中国の幹線物流が抱える巨大な規模と深刻な課題が紹介された。

中国では年間430億トンを超える貨物が輸送されており、その物流を支えるトラックは1,170万台に上る。このうちトレーラーをけん引する大型車両は約400万台に達し、日本の30倍以上となっている。


1回の輸送で数千キロを走行するケースも珍しくなく、宅配便の1日当たり取扱量は5億5,000万個に達し、約10年前の10倍となっている。


一方で、トラックドライバーの不足が深刻化しており、中国では個人事業主として働くドライバーの割合も高いため、企業による労働時間の管理が十分に行き届きにくい。長時間運転の問題への対応が急務となっている。


こうした背景のもと、物流業界では、自動運転技術の導入と実用化を加速させることで、ドライバーの負担と環境負荷を軽減する取り組みが進められている。



スマート運転ドライバーのリアルな現場:運転支援技術が変える働き方


番組では、上海市近郊の高速道路サービスエリアを訪れ、ドライバーの郭氏に同行して、スマートトラックでの実際の業務を体験した。


郭氏はこの日、山東省内のある都市を出発し、上海を目的地として、片道約800kmを走行した。所要時間は約9~10時間で、ネット通販商品の輸送を担当しており、長距離の往復輸送が日常となっている。


郭氏によると、以前、通常のトラックを運転していた際には、片道1,500kmを走行したこともあり、運転時間は20時間を超えたという。2人で交代しながら運転していた場合でも、長時間にわたって車内に拘束される必要があった。


しかし、2年前から仕事のスタイルが大きく変化した。その中心となったのが、Inceptio Technologyのインテリジェント運転支援システムである。


高速道路の本線では、郭氏がインテリジェント運転支援モードを起動すると、L2+レベルの技術に基づき、システムが車両の加減速や車線変更を自動で制御する。


番組では、システムが大型トラックと並走する際の対応能力も紹介された。右側の車線に大型車両がいる場合、システムは自動的に車両をわずかに左側へ寄せて回避し、車線を逸脱することなく安全な間隔を確保する。


郭氏は、走行区間の90%以上でこの運転支援モードを利用していると話し、「以前は800kmを走るのに最低でも2人のドライバーが必要でしたが、インテリジェント運転支援を利用するようになってからは1人で済み、負担も軽くなりました」と語った。


これにより、ドライバーの業務負担は大幅に軽減されている。



Inceptio Technologyの技術理念:高精度な認知と人を中心に据えた設計


続いて番組は、Inceptio Technologyの上海オフィスを訪問し、同社の研究開発に使用されている大型シミュレーターを実際に体験した


Inceptio Technologyは車両にLiDAR、カメラ、ミリ波レーダーを統合して搭載しており、リアルタイムの距離制御における精度は7cm未満に達する。


同社によれば、システムに求められるのは安全な追い越しを実現することだけではない。システムが周囲の車両を認識し、それに応じて回避操作を行っていることを車内の乗員自身が感じられるようにすることも重要であり、それによってドライバーが安心して運転できる環境を実現するという。


こうした「人への配慮」は、ドライバーの状態監視にも及んでいる。


番組では、インテリジェント運転支援モードの作動中にドライバーが約10秒間スマートフォンを見続けた場合、シートが強く振動するとともに警告音が鳴る様子が紹介された。


システムはAIによってドライバーの視線をリアルタイムで監視し、わき見や居眠りを検知すると、直ちに安全運転を促す警告を発する。



10億kmの累計走行距離とL4レベルへのロードマップ


報道によると、Inceptio Technologyは現在、中国国内で約7,000台のスマートトラックを遠隔管理しており、システムによる累計走行距離は2026年8月に10億kmを突破した。

Inceptio Technologyは、この大規模な実運行によって蓄積されたデータこそが、技術進化の中核となる資産であると説明している。


同社の評価によれば、L4レベルの無人運転を商用化するためには約80億kmのデータ蓄積が必要とされており、2028年にはこの目標を達成する見込みだという。


その時点で、ドライバーが乗車しない完全無人による商用運行を開始する計画としている。



グローバル展開への展望と差別化されたアプローチ


番組の最後には、東京テレビ上海支局の山口記者がリモート出演し、Inceptio Technologyについて分析・コメントした。


山口記者は、Inceptio Technologyがすでに日本、欧州、中東地域の主要な業界関係者との協業を開始しており、海外展開に向けたポテンシャルを有していると指摘した。


Inceptio Technologyの特徴は、「並行開発」というアプローチにある。


L2+レベルの技術を大規模に実運用することで蓄積した大量の実走行データをL4レベルの技術検証にフィードバックするとともに、遠隔管理において、車両、ドライバーの状態、システムの対応状況、リスク管理を一体的にモニタリングしている。


また、山口記者は、トラック自動運転特有の技術的課題として、制動距離が長いこと、横方向の余裕が小さいこと、積載重量の変化によって車両挙動が大きく変化することなどを挙げた。


さらに、一部の米国企業がL4レベルの商用化を直接推進しているのとは異なり、Inceptio Technologyは、まず大規模なL2+の実運用を通じてデータを蓄積し、その上でL4へと進化させるアプローチを採用していると分析した。各社がそれぞれ異なる重点を置きながら、独自の技術開発・商用化ルートを進んでいる。


国際エネルギー機関(IEA)は、2035年までに、米国、欧州、中国の3大市場におけるハブ間輸送用大型トラックの販売台数のうち、4分の1が自動運転車両になる可能性があると予測している。



自動運転トラック市場は、ドライバー不足や物流効率の向上といった社会的課題の解決に直結する分野であり、今後も各国の企業による関連動向が大きな注目を集めることが予想される